マーケティングフレームワークについて
目次
今回のコラムでは、ビジネスシーンでよく使用・活用されるフレームワークを簡単にご紹介します。
初めて社会人になる方や営業を初めて行う方・マーケティングの基礎を振り返りたい方に参考になる記事となっています。
ところで、自分の会社の製品やサービスがどのような市場価値を持っているか考えたことがありますか?入社当初に会社概要の説明は受けるかと思いますが、その背景や市場での立ち位置まで正確に把握できている方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、新規事業にフレームワークを活用するシーンを例に出していますが、既存製品やサービスの振返り(自社の理解促進)としても活用できますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
①フレームワークとマーケティング
フレームワークをビジネスで活用するにはまず、マーケティングの基本理解が必要不可欠です。
マーケティングとは企業や組織が市場で成功を収めるために、顧客のニーズを満たし、価値を提供し、ビジネスの目標を達成するための戦略的な活動です。
この戦略的活動は市場調査を行い、ターゲットの選定をします。
次に自社製品は市場のどの位置にあるのかを競合や市場を基に分析し判断します。
そこから個別のサービスや商品に合った戦略を立てて、顧客にあらゆる方法でアプローチを行います。
その後はアプローチ結果を基にマーケティングの効果を評価し改善していきます。
この取り組みを行うことで顧客のニーズ把握、ブランドの認知向上、市場シェアの拡大、売上増加などにつなげることができます。
いざ読んでみて如何でしょう?漠然として、具体的にはどうしたらよいのか分かりませんよね?
そこで活用されるのがフレームワークです。フレームワークを知り、理解し、活用できればマーケティング戦略を効率的かつ体系的に行う事が可能となります。
②フレームワークとは
そもそもビジネス上で使用するフレームワークとは何か、ですが
フレームワークとは問題解決や目標達成のための基盤や指針を提供する枠組みの事です。
フレームワークを知り、そして活用することで作業を効率化し、迅速な意思決定が可能となります。
<フレームワークを活用するメリット>
・サービスや製品(自社)の立ち位置を客観的に把握できる
例:PEST分析、3C分析、5フォース分析、SWOT分析 等
・マーケティングの方向性を明確にしやすくなる
例:4P、4C(マーケティングミックス)
・適切な事業戦略を立てやすくする
例:STP分析
・具体的な施策の立案後、結果を見直ししやすくなる
例:PDCAサイクル
いかがでしょうか。これでもほんの一例となります。
聞いたことがある名前も少なからずあるかもしれません。
③フレームワークの種類と活用方法
フレームワークはマーケティング活動のさまざまな段階で活用され、
目的に応じて使用するフレームワークも変わります。
ではどのタイミングで何のフレームワークが活用され、どのような意味をもっているのか、代表的なフレームワークをこれから紹介します。
またイメージがつきやすいようマーケティングフレームワークを活用し、カフェを新規展開し売上を上げる目的で、
「1.市場調査と分析→2.ターゲット市場の選定→3.マーケティング戦略の立案」と、具体的施策実行フェーズにおける「4.効果測定」という流れで説明します。
1.市場調査と分析
身近にあるカフェチェーンを例に、新規エリアへ進出を検討する際にフレームワークを活用するシーンを想定して、代表例をご紹介します。
注)想定のため、実例ではありません。
設定:とある地域(便宜上A地域とします)で中堅どころのカフェチェーンが、新規地域(便宜上B地域とします)にカフェ店舗を新規参入させる場合を想定しています。
A地域では、主に生活圏で親近感がありつつも、少し贅沢な空間とサービスを提供するコンセプトでシェアを拡大していました。
B地域ではオフィス街が中心となり、全く別のアプローチが必要となる可能性があります。
フレームワーク:3C分析
3C分析とは「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合他社(Competitor)」の3つを軸にして市場環境を分析するやり方です。
「顧客(Customer)」
→新規展開する顧客の購買動機や購買プロセスを明確にし、
ターゲット顧客に対して適切なアプローチを行うことです。
例:B地域の顧客層はオフィスワーカーとなります。
アンケートを行った結果、日々業務に追われ精神的に追い詰められている。
そのため、一息出来る空間が欲しいという回答が一定数ありました。
「自社(Company)」
→自社の強みや弱みを理解することで、競争力を発揮できる分野を特定します。
例:自社に賞を取ったバリスタがいるため全面的にPRしていくことや有名な人気豆を使用したコーヒーを提供しているなど、B地域でも通用する価値を絞り込みます。
「競合他社(Competitor)」
→競合他社の動向を把握することで、市場における自社の位置づけを理解し、差別化戦略を立てることです。
例:B地域では、安価でスピーディーな提供を主とする競合が多く、価格やファストサービスでは価値を創出できなそうです。逆に高級志向なカフェは少ない傾向です。
3Cのフレームワークから「自社の強みを活かし、豆と作り方にこだわった、一息つける・リラックスできる空間の創出」という点で勝負できそうです。
この様に3つの視点から、顧客ニーズを的確に捉え、自社の強みを活かし、競合他社との差別化を図るための戦略を構築することで、自社の自己分析につながり新規展開エリアでの競争力を高めるための施策立案につなげることができます。
2.ターゲット市場の選定
3C分析で、大まかな自社の価値を定義できたら、次はより具体的な展開を検討します。
そこでSTP分析という手法を活用する事にしました。
フレームワーク:STP分析
STP分析とは、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3つのステップから成るマーケティング戦略策定のフレームワークです。
・Segmentation(市場細分化)
→市場を異なる顧客グループに分割(地理、人口統計、心理、行動)し、それぞれの特性に基づいて顧客ニーズを把握します。
例:B地域は平日ビジネスパーソンが主となり、土日は観光客の中継点や待ち合わせ場所にも使われる為、幅広い層が滞在しています。
・Targeting(ターゲティング)
→セグメンテーションによって分割された市場から、自社が最も効果的にアプローチできるターゲット市場を選定します。
例:今回は、ビジネスパーソンの中でも、働き盛りと言われる20代~40代を主要顧客としました。
・Positioning(ポジショニング)
→ターゲット市場に対して、自社のブランドや製品をどのように認識してもらうかを決定し、それに基づいてブランドイメージやマーケティングメッセージを構築します。
例:オフィスワーカーへ「忙しいビジネスパーソンがリラックスできる場所」など顧客に伝えたいメッセージを明確化します。
STP分析を活用し、3Cで想定した方向性をより具体化して、マーケティング戦略へ落とし込みました。
結果、ターゲットやメッセージがブレない戦略に固まったのが分かるかと思います。
この様に、顧客のニーズ把握、効果的なターゲット市場の選定、ターゲットに対しての自社の明確なポジションを把握し、顧客のニーズに当てはまるアプローチを明確化します。
3.マーケティング戦略の立案
マーケティング戦略の最終段階として、ターゲット市場を明確にしたら、そのターゲット市場に対してどのように製品やサービスを提供し、アプローチするかを具体的に策定します。
このプロセスではマーケティングミックスというフレームワークを活用します。
今回はその中でも売り手視点の「4P」を例にご紹介します。
フレームワーク:4P分析
4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の4つの要素からなるマーケティング戦略の枠組みです。
・Product(製品):どのような製品・サービスを提供するのか
・Price(価格):その製品・サービスをいくらで提供するのか、どのようチャージ方法か
・Place(流通):その製品・サービスをどのように提供するのか
・Promotion(プロモーション):その製品・サービスをどのように販促するのか
これらの要素を適切に設定することで顧客に対して魅力的な提案を行い、マーケティング活動の最大化を図ります。
Product(製品)
→提供する製品、サービス内容を決定します。
例:「リラックス」効果の期待できる自社独自のオリジナルコーヒー、バリスタによるコーヒー提供(作り方の拘りの提供)、無料Wi-Fi、お洒落な店内等の環境の整備
Price(価格)
→ターゲット市場や競合の価格帯を考慮し、提供する製品やサービスの価格設定を行います。
例:高品質ながらも、手の届く価格帯をコンセプトに「1週間に1回の自分へのご褒美」としての価格帯を設定。Productに納得感のある価格を紐づけ。
Place(流通)
→製品やサービスを顧客に提供する場所や方法を決定します
例:少しの贅沢の為顧客単価が高い分、身近に感じて頂きたいという設計をし、10人~20人程度の狭小スペースな一方、
半径500Mに一店舗配置を計画。バリスタを資格制にし、全店舗に配置出来る様に準備。
Promotion(販売促進)
→カフェの存在をターゲット顧客に知らせるための広告や販促活動を行います。
例:知ってもらえたらリピーターが増え、口コミ拡散も期待できるという目的で、SNSやデジタルマーケティングを活用した広告戦略に絞り込み。
まだまだ検討段階ですが、この様に徐々に具体的な計画立案へと繋げる事が出来ます。
このフレームワークのポイントは4Pの各指標が矛盾せずに整合性が保たれているか確認しつつ戦略を立てる事ができます。
結果、ターゲット市場に合わせた最適なマーケティング施策を実施し、新規オープンしたカフェ店への来店や購買に繋げる事を目指しています。
ここまでが、カフェを例にしたフレームワークの活用例となります。振り返りにも活用できるので、是非自社の理解促進の為に活用してみて下さい。
それが、自分のミッションに思わぬ成果をもたらすかもしれません。
4.効果測定と改善
最後に、やや異なる視点から、身近な例として、PDCAサイクルをご紹介します。
主に具体的な施策が決まった後に効果測定や改善活動の為に使われるモデルです。
フレームワーク:PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの段階を繰り返すことによって、プロセスを改善し続ける手法です。
Plan(計画): 目標設定と施策の計画を立てる。
Do(実行): 計画に基づいて施策を実行する。
Check(評価): 実施した施策の結果を評価し、目標達成度を確認する。
Act(改善): 評価結果に基づいて施策を改善し、次回に活かす。
マーケティング活動を計画し、実行し、その成果を評価し、改善するための継続的なプロセスになります。
例として、B地域への出店後の1人の店長として、更なる売上拡大の為にモーニングやランチの新規メニューの開発を行った場合を想定してみましょう。
・Plan(計画)
オフィス街のビジネスマンをターゲットにし、朝食やランチに特化したメニューを提供する計画を立てます。
まず目標となる新規メニューの売上金額を立て、「いつから」「何を」「誰に」「どのように」「どこで」「いくら」(5W1H)で販売するのかの計画を立案します。
Do(実行)
計画を基に、実際に行動し、売上をカウントしつつ、顧客アンケート等も収集します。
Check(評価)
ターゲット顧客層の来店頻度や、メニューの売れ行きなどのチェックやスタッフのサービスの質やオペレーションの改善が必要な部分を特定します。
主に、計画との差異が無いか(上振れ下振れ双方)ある場合にはどこかという点を中心に評価します。
Act(改善)
人気のないメニューを削除し、新たに顧客のニーズに合ったメニューを追加するや価格の見直しなど、改善を行います。
効果の薄かった広告などを見直し、プロモーション改善をします。
また、スタッフサービスの質向上や、効率的なオペレーションに向けて努めます。
これが、次の計画(P)に繋がるので、終わりがない=サイクルと呼ばれる所以となります。
PDCAサイクルを活用することで、カフェの運営は継続的に改善され、顧客満足度の向上や売上の増加といった成果が期待できます。また、ビジネスの持続的な成長が可能になります。
ただし、経営戦略のような大きな計画に対しては要素が多すぎるため、短期間でのサイクルの実施が難しい場合もあります。そのため、今回の例の様に具体的な施策に対して実行するのが適切です。
④まとめ
フレームワークはあらゆるビジネスシーンで活用でき、マーケティング活動においても不可欠な考え方です。
新社会人の方や営業を始めてやる方、マーケティングの基礎をおさらいした方はぜひこの記事を参考にしていただき、フレームワークの基本を整理するのに役立てて頂ければ幸いです。
弊社もあらゆるシーンでフレームワークを活用し、業務を推進しています。
例えば、販売代行サービスにおいては、来店者属性を含めたターゲット選定や扱う商材の市場調査・トレンドの把握などです。これを日々の売り方に反映させています。
弊社に興味のある方はぜひこちらのページもご参照ください
弊社サービスURL:https://www.ivisit.co.jp/business/
その他コラム記事URL:https://www.ivisit.co.jp/useful/tag/4